私たちが毎日当たり前のように行っている「歯みがき」ですが、それだけで口の中の健康を完璧に守ることはできません。

歯ブラシだけでは取りきれない汚れや、時間が経つことで固まってしまった歯石などは、

歯科医院での「プロフェッショナルクリーニング(PMTC)」によって除去する必要があります。

今回は、歯科クリーニングの役割とその重要性について、お話していきます🍀

1. クリーニングとは何か?

歯科におけるクリーニングとは、

専用の器具や機械を使って、歯の表面や歯と歯ぐきの間にたまった歯垢(プラーク)や歯石、着色汚れなどを除去することを指します。

歯垢は細菌の塊であり、放置するとむし歯や歯周病の原因になります。

また、歯石は歯垢が唾液中のカルシウムと結びついて石のように硬くなったもので、通常の歯みがきでは除去できません。

2. 歯周病予防の要

クリーニングの最も大きな目的のひとつは、歯周病の予防です。歯周病は、歯を支える骨や歯ぐきが破壊されていく病気で、日本人の成人の約8割が何らかの歯周病にかかっていると言われています。初期には自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行してしまうことが多く、最悪の場合には歯が抜けてしまう原因になります。

歯周病の原因となるのは、主に歯垢中の細菌です。特に歯と歯ぐきの境目(歯周ポケット)に入り込んだ歯垢や歯石は、歯周病菌が繁殖する温床となります。

定期的に歯科でクリーニングを行うことで、歯周病のリスクを大幅に軽減することができます。

3. むし歯予防にも有効

歯垢の中には、むし歯の原因となるミュータンス菌が含まれています。

この菌は、食べ物の中の糖分を分解して酸を作り出し、その酸が歯のエナメル質を溶かしてむし歯を引き起こします。

歯の表面に長時間プラークが付着していると、むし歯になる確率が高くなります。プロによるクリーニングでは、目に見えにくいプラークもしっかり除去できるため、むし歯の予防にも非常に有効です。

4. 審美的効果と口臭予防

クリーニングには、審美的な効果もあります。

例えば、コーヒー、紅茶、ワイン、タバコなどによる着色汚れ(ステイン)は、通常の歯みがきでは落としきれません。

専用の研磨剤や器具を使ったクリーニングにより、歯本来の白さを取り戻すことができます。

また、口臭の原因の多くは、口腔内の細菌によるものです。とくに歯周病によって発生するガス(VSC:揮発性硫黄化合物)は、

強い臭いを発します。クリーニングによって細菌の温床を除去することは、口臭対策としても有効です。

5. 全身の健康との関わり

最近の研究では、口腔内の健康と全身の健康の関連が明らかになってきています。

たとえば、歯周病は糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞、誤嚥性肺炎、早産などと関連があるとされています。

歯ぐきの炎症から細菌が血流に入り込み、全身に影響を及ぼすことがあるためです。

つまり、歯のクリーニングは単に「口の中をきれいにする」だけでなく、「体全体の健康を守る」という意味でも非常に重要です。

6. どのくらいの頻度で行うべきか?

クリーニングの頻度は人によって異なりますが、一般的には3か月に一度の定期的な受診が推奨されています。
歯周病やむし歯のリスクが高い方、矯正治療中の方、
喫煙者、高齢者などは、

より頻繁なケアが必要な場合もあります。
歯科医院での定期検診とクリーニングを組み合わせることで、自分の口の状態を正しく把握し、適切な予防措置をとることができます。

7. 自宅ケアとプロのケアの違い

もちろん、毎日の歯みがきやデンタルフロス、マウスウォッシュなどのセルフケアも非常に重要です。
しかし、どんなに丁寧に歯を磨いても、完全にすべての歯垢を除去することは難しいと言われています。

特に、歯と歯の間や奥歯の裏側など、磨き残しが出やすい部位は注意が必要です。

プロフェッショナルケアは、そうしたセルフケアでカバーしきれない部分を補い、より高いレベルでの口腔ケアを実現するものです。

両者をバランスよく組み合わせることが、健康な口腔環境の維持には欠かせません。

まとめ

歯のクリーニングは、単なる美容目的ではなく、歯周病やむし歯の予防、そして全身の健康維持にまで関係する非常に重要な医療行為です。
歯は一度失ってしまうと二度と自然には戻ってきません。健康な歯と歯ぐきを保つためには、毎日のセルフケアとともに、定期的な歯科クリーニングを欠かさないことが大切です。

「痛くなってから歯医者に行く」のではなく、「痛くならないように歯医者に通う」こと。

これがこれからの時代のスタンダードな歯科との付き合い方です。
今こそ、自分の歯としっかり向き合い、将来の健康への第一歩を踏み出しましょう!

よつば歯科クリニック