マウスピース矯正について
- 基本的な考え方
マウスピース矯正は、透明な樹脂製のマウスピース(アライナー)を使って歯を少しずつ動かしていく矯正方法です。
ワイヤー矯正と違い、取り外し可能で目立ちにくいのが大きな特徴です。見た目に配慮しながら矯正したい方に人気があります。
- 歯が動くメカニズム
歯は 歯槽骨と歯根膜 によって支えられています。
骨に直接固定されておらず、歯根膜というスペースがある
ため、歯を動かせます。
① 矯正力が歯にかかる
アライナー(マウスピース)によって、歯に持続的な力がかかる
② 歯根膜の反応
歯は「歯槽骨」という骨の中に埋まっていますが、その間に歯根膜という薄い膜(0.2mm程度)があり、クッションのような役割をしています
力が加わると、歯根膜の片側が圧迫され、もう片側が引っ張られるようになります
③ 骨の再構築(リモデリング)
【圧迫側(押される側)】
・歯根膜が縮んで、血流が減少
・破骨細胞が活性化 → 骨を吸収(骨がなくなる)
・歯が動くスペースが生まれる
【牽引側(引っ張られる側)】
・歯根膜が引き伸ばされ、血流が増加
・骨芽細胞が活性化 → 新しい骨を作る
・移動した歯の位置を固定するための骨が形成される
④ 徐々に歯が動く
この「骨の吸収」と「骨の形成」の繰り返しがゆっくり進行することで、歯が少しずつ移動します
1ヶ月で約0.5~1mm程度が目安
- 治療の流れ
歯型のスキャンや型取り
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デジタルシミュレーションで治療計画を立てる
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複数枚のマウスピースを作成(通常1週間ごとに交換)
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1枚ごとに0.25mm前後の歯の移動を促す
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数か月〜数年かけて理想の歯並びに近づける
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矯正治療で歯を動かした後に、歯が元の位置に戻ろうとするのを防ぐために、新しい位置で安定させるため装置(リテーナー)をつける
- メリット
・透明で目立ちにくい
・食事や歯磨きのときに外せる
・金属アレルギーの心配が少ない
- デメリット
・1日20時間以上の装着が必要(自己管理が重要)
・複雑な歯並びには向かないことがある